(旅のコラム) 高知県 安芸市にある、廃校の小中学校の校舎を利用した温泉宿 畑山温泉 - 四国で一人旅を満喫するブログ「香川県、愛媛県、高知県、徳島県」 

四国(愛媛、香川、高知、徳島)を一人旅すると、海や川、山を舞台にした自然美にあふれる景観や素朴な郷土料理との出会いがあります。

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本州と四国を結ぶ連絡橋には、「明石海峡大橋・大鳴門橋」、「瀬戸大橋」、「しまなみ海道」の3つがあります。

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「四国」は日本列島を構成する島のひとつで香川県、徳島県、愛媛県、高知県から成ります

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四国の最高峰は愛媛県の石鎚山(標高1982m)、2位は徳島県の剣山(標高1955m)です

(旅のコラム) 高知県 安芸市にある、廃校の小中学校の校舎を利用した温泉宿 畑山温泉

 澄んだ 伏流水が、明るい水田に絶え間なく流れ込んでいる。柚子畑が一面に広がり、道端にはショウブの花。畦道にはおじいさんを乗せた一台のトラクターが、初夏の日差しの中にゆっくりと消えていった。

 高知県の安芸市にある畑山温泉 田んぼ

畑山温泉は、 高知県の東部、安芸 の市街地から20kmほど畑山川を遡ったところに湧く温泉である。
安芸市畑山地区といえば、四国の秘境ともいわれる、山はだに隠れたエリア。そこへはバスが一日たった数本のみ、結んでいるだけだった。

土佐くろしお鉄道ごめんなはり線、畑山温泉 太陽号の車両

 JR土讃本線の後免駅から 土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線 に乗った。 入線してきた車両「太陽号」 と呼ばれるオープンデッキの列車。2両編成の車両はカーブを舞い、緩やかな高知県の海岸線をなぞっていく。デッキに出ると、涼しい潮風が全身に吹き付けてきた。雲の切れ間から光が差し込みはじめ、次第に空と水平線の境がまぶしくなってくる。アカマツの並木の向こうには、白砂の砂浜が、高知県の東端他に位置する室戸岬に向かって緩やかなカーブを描いてのびていた。

土佐くろしお鉄道ごめんなはり線、畑山温泉 安芸駅

 終点の 土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の安芸駅 で「太陽号」の車両を降りた。次のバスが来るまで一時間近くあったので、安芸駅構内の「じばさん市場」を見て廻ると、おばあさん達が「これは安いき。」「これもいい品だき。」なとど言いながら買い物をしていた。市場には、高知県の銘菓、地揚げの海産物、キュウリ、トマト、ピーマンなどが売っていて、南国にやってきた実感が湧いてくる。

高知県の安芸市にある畑山温泉 バス

 
そうこうしているうちに、土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の安芸駅のロータリーに、畑山行きのバスが入ってきた。日焼けをした運転手さんがドアを開け、「ご苦労様です。畑山までは一時間ほどかかるけんど、ええ温泉ですよ。」と白い歯をこぼした。


 土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の安芸駅を後にしたバスは、瓦積みの垣根や塀を構える安芸の古い町並みを窓外に映したあと、黒光りする 野良時計 を通り過ぎてゆく。乗客は私のほかに、腰の曲がったおばあさん、帽子を被ったおばあさんの三人だけ。後席に座る二人は私を見て「畑山温泉に来る若者は珍しいわあ。」と顔を見合わせた。高知県 安芸のミカンの段々畑を過ぎ、杉木立を緩やかになぞっていくと、民家は途絶え、窓外は次第に秘境の様相を呈してきた。道の両側には深い緑が迫り、気がつくと車1台がやっと通れるほどの道幅に。「若者はみな都会に出てしもうたき、畑山で見かけるのはおばあか動物かどっちかじゃ。」。おばあさんが目尻に皴を刻ませ話しはじめた。  

高知県の山間部に湧く畑山温泉 渓流


畑山温泉(高知県 安芸市)のある 安芸市畑山地区 は昭和29年までは畑山村といって、人口2000人ほどが暮らしていたそうだ。しかし町村合併など時代の波を受けて次第に過疎化が進み、現在では人口300人ほどが暮らす、ちいさな集落となってしまった。児童の数も減少の一途を辿り、明治時代創立の小中学校も近年ついに廃校に追い込まれてしまった。そして、私が今向かっている畑山温泉こそ、その 廃校跡 であると教えてくれた。


  土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の安芸駅を出てから数ウ10分経ち、バスの窓外に流れる畑山川の両脇には、奇岩怪石が連なり、深い淵はエメラルドグリーンに澄みきっていた。林の中にカモシカらしき動物の影がササと動き、山桜が可憐な花びらがひらひらと舞い散った。

高知県の安芸市に湧く畑山温泉 外観


  山間部に入ってから40分程して、視界が急に明るくなった。山林が途切れたのだ。初夏の青空が、山の向こうまでのびきっている。終点の畑山バス停でバスを降り、標識をたよりに緩やかな坂道を登ると、木造の建て物がヌッと現れた。軒先の木の札には 「畑山温泉憩いの家」 と書かれてあった。宿の入り口付近には石版が建っていて、そこには「安芸市立畑山小中学校跡」という文字が刻まれていた。
                    
     

                    
 おばあさんの話のとおり、畑山温泉(高知県 安芸市)は、かつての畑山小・中学校だったのだ。目を凝らして学校の歴史が刻まれた部分に目を通す。そこには、明治11年に学校が創立されてから、平成8年4月1日に廃校するまでの経緯が記されていた。





 畑山小・中学校の廃校跡にできた温泉宿「畑山温泉憩いの家」(高知県 安芸市)に入った。「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」と、奥から女将さんの丸い笑顔が現れ、木の温かみを感じさせる和室へ案内された。「こんな古びた宿ですが、どうぞゆっくりしていってください」。お女将さんが行ってしまうと、野鳥と瀬音だけが残った。


   「畑山温泉憩いの家」(高知県 安芸市)の館内を少し歩いてみた。客室はかつての 教室 だったに違いない。一見すると一般旅館の部屋と変わりなく見えるが、丸太を組んだ廊下の壁や、黒光りする床などにその痕跡を残していた。バスで会ったおばあさんたちも、この場所で机を並べたのだろうか。いつしか日は西の山の端に吸い込まれ、 カジカ が一斉にコロコロ鳴きはじめた。

 畑山温泉 料理


夕食の時間となり食堂 に行くと、女将さんが丁寧に膳を運んできた。畑山温泉(畑山温泉憩いの家(高知県 安芸市)の料理は地元の食材をふんだんに使った 田舎料理 だった。メインは、土佐ジローの唐揚げと手羽先。土佐ジローは、高知県を代表する地鶏で、この鶏は、宿の経営者である小松靖一氏が育てたものらしい。皮が狐色になるまで丹念に炙られた鶏肉は一見硬そうに見えたが、かむと意外と柔らかく旨みがあった。添えられた塩との相性も抜群である。鶏肉の周囲を彩る味覚の数々も都会ではなかなか味わえないものばかりだった。 刺身こんにゃく 、 ワラビ の煮付け、 タケノコ の煮物、 ソバのテンプラ、 柚子皮 の煮付け・・。豊かな自然の恵みが盛り込まれていて、一品一品、格別な味がした。

高知県の安芸市にある畑山温泉 温泉

 座敷でしばらく休んだ後、「畑山温泉憩いの家」(高知県 安芸市)の 温泉 に入った。素朴なタイル張りの浴槽の中にざぶんと浸かると、透明でさらさらした湯が贅沢に溢れ出る。 カジカと伏流水瀬音の奏を耳にしながら目をつぶった。



 翌朝、鳥の声で夜が明けた。目覚ましがてら朝の散歩に出かけると、畦道の脇でひとりのおじいさんが丹念に花の手入れをしていた。カンナ、アジサイ、ショウブ、サツキ・・。優しい眼差しで、水を遣ったり畝の手入れをしたりしていた。ふと、昨日のバスのおばあさんに、「どうしてこんな山奥に住んでいるのですか?」と尋ねたことを思い出した。お店もない、バスの本数も少ない、病院にいくにも時間がかかる。それなのにどうしてこんな不便な土地に住んでいるのだろうと疑問に思ったからだ。
高知県の安芸市に湧く畑山温泉 柚子畑

 おばさんは少し考えたようにした後、目を輝かせてこう答えた。「そうじゃな。とりわけ理由はないんじゃけんど・・。でも、この土地にはいろんな大切なものがたくさん詰まっちょるき。」そのときは、その意味が分からなかったが、畑山温泉(高知県 安芸市)での一日を通して、それが何となく理解できたような気がした。
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